アメリカの子供がなりたい職業とは
その国のお国柄が現れるのが子供を対象にした「なりたい職業」についてのアンケート調査です。
アメリカといえば世界で最も実力主義が進んでいる国であり、職能と年収が極端なほどに直結をしているというところに大きな特徴があります。
日本においても「勝ち組」「負け組」といった経済的な上昇志向は広く持たれていますが、アメリカにおいてはその意識は日本の比ではなく、自分の夢の実現と年収の高さを同時にかなえようという意識が強く滲んでいることがわかります。
2015年にWeb上で行われたアンケートによると、アメリカにおいて人気のある職種として男の子は第一位の「プロスポーツ選手」となっており以下「わからない」「消防士」「エンジニア」「宇宙飛行士」となっています。
一方で女の子のなりたい職業としては第一位に「医師」、以下「教師」「わからない」「科学者」「シェフ・パン屋」ということになっています。
ただこの調査とは全く別のところでアメリカ国内で人気のある職業ということで調べたアンケート調査があり、そちらでは「歯科医師」「ナースプラクティショナー」「ソフトウェア開発者」といったような職種が上位を占めています。
今最も注目なのが「歯科医師」という仕事
日本だけでなくアメリカにおいてもライフ・ワーク・バランスということは社会的な問題となっています。
むしろ日本以上にアメリカ人は家族の絆や家庭生活を重視する傾向があるので、世間的にどのような要職についていたとしても家族との時間を作ることが難しければそれだけで「よくない職業」というふうに扱われてしまいます。
アメリカ国内では毎年ライフ・ワーク・バランスと収入額、失業率や求人数をもとにした職業ランキングが発表され、それが子供たちのなりたい職業に大きな影響を与えています。
その調査で常に上位にランクしているのが「歯科医師」という仕事で、2015年にはついにトップを獲得するという結果になりました。
日本においては何かと評判の悪い歯科医師という仕事ですが、米国内においては歯科医師一人あたりの仕事の数が安定しており、さらに年収や休日の取り方なども他の職業よりも優れているとされています。
もう一つ注目したいのが職業ランキング第二位に位置している「ナースプラクティショナー」で、こちらはアメリカ特有の看護師の上位職です。
ナースプラクティショナーは簡単に言うと看護師と臨床医師のちょうど中間に位置する仕事で、治療上多くの権限が与えられるとともに専門的な仕事をしていくことができます。
またここ数年では過剰気味になってしまったことでやや順位が落ちてしまいましたが米国では薬剤師もライフ・ワーク・バランスがとりやすい人気の仕事で、全体として医療系の仕事に人気があるということがわかります。
職能重視で仕事をしていくというキャリア
日本の就業環境は年々アメリカのものに近づいていっていますが、それでもまだまだ企業全体の文化には大きな違いがあるようです。
例えば日本においては初対面の人に「何のお仕事をしているのですか?」と訪ねると勤務中の会社の名称を答えることが多くあります。
ですがアメリカにおいては会社名ではなく「金融マネージャー」や「コンサルタント」といったように職種で答えることがほとんどです。
これはアメリカにおけるキャリアアップがどんな企業に勤務しているかではなくどんな仕事をしているかということで決まるため、転職も当たり前であり今どの企業にいるかということはあまり意味がないからです。
言い換えれば人気の職業となるのは最初にその仕事をすることでその先のキャリアが期待できる仕事ということになるので、進学をしていくほど専門性を生かせる仕事を希望する人が増えていきます。