フランスらしい人気の職業
日本にいてはあまりその実態がリアルに伝わってきませんが、現在ヨーロッパの各国は深刻な失業率の高さに悩まされています。
そのためこれから就職をすることになる若者世代にとってはより堅実な仕事に就きたいという意識が強く、学生を対象にした人気企業ランキングの上位を有名企業が独占しています。
具体的には「LVMH(ルイ・ヴィトン)」「ロレアル」「エールフランス」といったように、日本人にとっても馴染みのある有名なグローバル企業からの求人に多くの人が集まっています。
一方でこれまで大人気の業界であった金融系はユーロ不安のためか急速に人気を落としてきており、かわって公務員を希望する若い世代が増えているというところにも大きな特徴があると言えます。
一方でそうした堅実な考えをする若者の意見とは別に、ただ純粋に自分自身がなりたいという職業は根強く存在しているようです。
フランスにおける職業訓練関連誌である「Orientations」は毎年なりたい職業について調査をしており、そこには非常にフランスらしい職業が数多くランクインしてきています。
具体的には第一位に「写真家」が入っていることを筆頭に、以下「建築家」「料理人」「獣医」といったものが続いています。
芸術の国フランスにおける写真家
この中でも特に他の国には見られない特徴として目立つのが第一位に「写真家」が入っていることでしょう。
日本においてもカメラマンという職業はありますが、フランスにおいて写真家「フォトグラファー」という一つの芸術家として扱いを受けます。
これは過去にフランスでは世界を代表するような有名な写真家が多く存在していたということが関係しているようで、ロベール・ドアノーやウジェーヌ・アジェ、アンリ・カルティエ=ブレッソンなどといった1900年代に世界的に名前をはせた写真家の存在が今も深くフランス国民の心を掴んでいるということがわかります。
当然写真家として生計を立てて行くためには通常の職能ではなく優れた芸術的センスがなければならないのですが、そうしたリスクを置いても自分なりの表現を仕事にしていきたいという気持が強く持たれているのでしょう。
また写真家に次いで人気のある職業として挙げられるのが「建築家」というのも特徴的なところです。
日本でも東京・上野にある国立西洋美術館を設計した建築家がル・コルビュジエというフランス人であったということがよく知られていますが、他にも世界を代表する建築家の多くがフランスを出身地にしています。
そうした過去の偉大な建築家の存在が後世にあたる現役世代の憧れになっているということでしょう。
人気とは別に今最も必要とされる職業
フランス国内における経済不況は職業選びにも大きな影響をもたらしています。
現在人気はないものの、最も社会的に必要とされていると言ってもよいのが住宅整備を行う大工や配管職人です。
フランスだけでなくヨーロッパ国内では建物は100年単位で使用をされるのが当然となっているため、当然定期的なメンテナンス業務が必要になります。
しかし給与の問題などによって住宅関係の職人さんの人数が減ってしまった結果、安価に採用できる移民がこの仕事に就くということも多くなりそれが住宅設備の不備を多く招く結果になってしまっています。
冷暖房や排水における配管や、屋根や外壁の修繕は誰でもすぐにできることではないのですがとにかく仕事が欲しいという移民が本当は技術もないのに求人に応募してそこで適当な仕事をするということが社会問題になっており、今後そうした住宅問題にどう対応していくかということが問題になります。